2015年6月28日日曜日

『家父長制と資本制』上野千鶴子(岩波現代文庫)【感想】

 この本を読んで、フェミニズムという思想の理解が飛躍的に進んだような気がしました。といっても、もともとフェミニズムとはなんであるか殆ど理解していなかったので当たり前ではありますが。

 解放の思想は解放の理論を必要とする。その理論は三つほどあるが、共通してマルクス主義の射程から抜け出ていない。というのは、マルクス主義だけが、殆ど唯一の、近代産業社会についての抑圧の解明とそれからの解放の理論だったからである。だが、マルクス主義の解明は「家族」には及ばないのでフロイト理論が持ってこられるが、それは家族の抑圧構造を解明する理論ではあっても解放のそれではない。「フェミニズムは、フロイト理論の助けを借りて、近代社会の社会領域が「市場」と「家族」とに分割されていること、この分割とその間の相互関係のあり方が、近代産業社会に固有の女性差別の根源であることを、突きとめたのである。・・・二十世紀思想の中でマルクスとフロイトは二大巨人であり続け、この射程をわたしたち未だ脱け出ていない。」なるほど!。「マルクス主義フェミニズムは、階級支配一元説も、性支配一元説も採らない。とりあえず資本制と家父長制という二つの社会領域の並存を認めて、その間に(ヘーゲルのいう)弁証法的関係を考える。」なるほどなるほど!!。多分30代の頃の上野が考えたこの整理はとても判りやすく説得性がある。因みに、家父長制とは昔の例えば封建制下のものではなくて、近代から現代にも続いているものをさしています。
 あれから30年・・・、フェミニズム理論が女性の抑圧と解放にどのくらい役だったのかについて、更に知りたいとは思う。しかし、この本からはもっと広く、様々な差別の問題自体を感じ取ることを第一に、つぎそれを社会構造の問題として捉えてその抑圧と解放の理論を模索し続けるという視点・態度を学ぶことが出来ると思いました。爺~じ。

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